映画『アリスとテレスのまぼろし工場』感想と考察など

注意:感想、評、気がついたこと、考えたことを書く。きれいな文章、あるいは論考にはまとめていない。映画の内容を含む。映像美と音楽にはほぼ言及していない。一度見ただけだから内容の誤認もあるだろうが、考慮しない。 タイトルについて 総評、ストーリ…

僕とコントラクトブリッジ、日本代表

夢を見た。夢の中の僕はなんだかブリッジがとても上手いようで、U-26の日本代表になるらしかった。 目が覚めた時、とてもいやな気分になった。現実の僕は、あのとき日本代表を目指さなかったことを、後悔したことなどないはずだった。 その夢を見たのは、ブ…

告解の虚偽方便5

迷っていた。海老との情報交換で内なる真実を暴き出された僕は、その温かさに包まれ、しかし、あまりに眩い真実の光に、処方箋のことをすっかり忘れてしまっていた。 迷路の如き檻に立てば、目の前には網目が織る網目、分岐が作る分岐。進むか退くか、右往左…

告解の虚偽方便3

僕は下僕として凡才らしく忙殺されつつ希望への参謀も兼ね女神に仕えている。始まりはひと月ほど前だった。 その頃の僕は、創造の女神を捕まえてしばらくハネムーンに旅立とうと目論んでいた。しかし、まずは日々の仕事を終わらせなければ気が済まない。なら…

告解の虚偽方便2

本日、彫刻が再開された。久しぶりに重たい鑿で空間を削り出して本日の作業を終える。時間にして20分、実に簡単。何某は宇宙を掘り出すのに6日間かけたらしいが、僕の彫刻は5日間で宇宙をぐるりと一周する。一足先んじる僕の工房では、月曜日にして大空が開…

告解の虚偽方便1

何やら息苦しい日が続いたので深夜0時に心の病院を訪れたところ、不正脈の疑いがあると言われた。医師は見てくださいと心伝図を取り出し、二つ連続した山型の波形を指差して「何に見えますか」と聞いてきたので「ロールシャッハ・テストか何かですか」と返せ…

雪の積もった朝

雪が積もっているらしい。僕はカーテンを開ける前から、スマホ越しでそのことを知っていた。童心を躍らせる状況よりも起き抜けの憂鬱が勝るようになった二十歳の僕は、それを頭の隅に追いやって、布団を這い出て、とぼとぼ洗面所に向かい、適当に顔を洗い、…